精中機構からのお知らせ:2017年3月21日掲載
「対策型乳がん検診における「高濃度乳房」問題の対応に関する提言」
【関連資料】対策型乳がん検診における「高濃度乳房」問題の対応に関する報告書.pdf(410KB)の
(2) 定義と用語、判断基準について(PP資料2-4)
これまで高濃度乳房、高濃度乳腺、デンスブレストなどの用語が使用され混乱が見られたので、用語を整理した。世界標準のDense Breastの定義は、ACRBI-RADSの4つのBreast Density分類の濃度の高い2つをDense Breastと定義しているので、わが国のマンモグラフィ(以下MGという。)ガイドラインでも”高濃度“と”不均一高濃度“をDense Breastと定義するのが妥当と判断し、その和訳を「高濃度乳房」とすることを提案する。
高濃度乳房の判断基準に関しては、定性的視覚的評価を用い、その基準は精中機構施設・画像評価委員会の「乳房の構成の分類に関するお知らせ」(資料)を採用する。(尚この文中の4)高濃度は「高濃度乳房」と紛らわしいので「極めて高濃度」と呼ぶことを提案する。)
提案が精中機構の総会(2017.4.16)において承認されましたので、下記に修正してお知らせいたします。
平成29年 4月16日
NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構
施設・画像評価委員会委員長 横江隆夫
乳房の構成の分類に関するお知らせ
施設画像評価委員会では乳房の構成の分類について「マンモグラフィガイドライン(医学書院)」および「マンモグラフィによる乳がん検診の手引き-精度管理マニュアル-(日本医事新報社)」に準拠して評価・判定を実施しております。
乳房の構成の分類を正しく理解されていない施設が多く見受けられ、乳房の構成が不適切で再提出が多くなっています。
施設画像評価には下記の分類内容を参考にご理解の上、臨床画像を提出いただきますよ うお願いいたします。
乳房の構成の分類について
乳房内の乳腺実質の量と分布(脂肪の混在する程度)に関する評価で、病変が正常乳腺に隠されてしまう危険性の程度を示す※1ものである。
以下のように分類する。
- 脂肪性:乳房はほぼ完全に脂肪に置き換えられている。病変が撮影範囲に入っていれば、検出は容易である。
- 乳腺散在:脂肪に置き換えられた乳房内に乳腺が散在している。病変の検出は容易で ある。乳腺内※2の脂肪が 70〜90%程度を目安とする。
- 不均一高濃度:乳腺実質内に脂肪が混在※3し、不均一な濃度を呈する。病変が正常乳 腺に隠される危険性がある。乳腺内の脂肪が 40〜50%程度を目安とする。
- 極めて高濃度:乳腺実質内に脂肪の混在はほとんどなく※4、病変検 出率は低い。乳腺内の脂肪が 10〜20%程度を目安とする。
もし、豊胸術がなされているならば、報告書に追記する。
- 左右差がある場合には、より高濃度の判定とする。
高濃度乳房(いわゆるdense breast)は、不均一高濃度と極めて高濃度を併せたものと定義する。
2017年4月の時点で最新のマンモグラフフィガイドライン第3版増補版 では脂肪性、乳腺散在、不均一高濃度、高濃度の4分類となっているが、次回の改訂の際には上記用語を使用の予定である。
(要点)
※1 乳房の構成を分類する目的は、病変が正常乳腺に隠されてしまう危険性の程度を示すものである。
※2 乳房内ではなく、乳腺内における脂肪の割合である。
※3 脂肪性と乳腺散在は乳房内に脂肪が多く、乳腺が少ないことに重点が置かれている。
乳腺散在における乳腺実質内の脂肪についての言及はないが、脂肪に置き換えられた乳房
内に乳腺が散在しており、「病変の検出が容易」という表現であることから、乳腺内には多くの脂肪が含まれていると解釈できる。
→ 脂肪の豊富な乳房内に厚い・脂肪を混在しない乳腺の場合には、乳腺実質の評価で分類することとなる。
※4 不均一高濃度と高濃度については、乳房内の脂肪量について言及していない。乳腺実質内にある脂肪量が問題である。つまり、乳腺実質周囲の脂肪量は考慮の対象にならない。
→ 見かけ高濃度は、撮影手技により小さな嚢胞も描出できる、あるいは、微小石灰化も検出できるような場合には高濃度ではなく、不均一高濃度に分類してよい。
乳房の構成の分類に関するお知らせ.pdf(99KB)