お知らせ

豊胸術実施者のマンモグライ検査に係る見解

豊胸術実施者に対しては、検診マンモグラフィと診療マンモグラフィ撮影とではその対応が異なる。以下の意見をもとに下記の見解を示す。

「豊胸術実施者へのマンモグラフィ撮影についての意見」
  1. 豊胸術の種類は多く、一律に応えることはできないが、脂肪の注入であれば多少の診断精度低下がみられる。
  2. シリコンバッグの場合には、撮影の手技やバッグの劣化などにより、バッグの破裂、あるいは当初入れた部位とは大きく異なる部位に移動している事もある。
  3. シリコン注入、シリコンバッグ等のインプラント挿入により病変が描出できない可能性がある。
  4. 受診者が豊胸術を告知しない場合も少なくない。
  5. 多くの受診者を扱う検診では、豊胸術実施者の撮影が安全であると保障することはできない。
  6. ACRのマンモグラフィ精度管理マニュアルでは、「豊胸術後乳房の画像には特殊な問題が存在するため、放射線科医や技師にとっての腕の見せどころであり、特別な考慮を必要とする。・・・・」と記述され、インプラントを照射野からはずして撮影するように記載されている。
「豊胸術実施者への対応」
  1. 検診マンモグラフィ撮影の場合は、様々な危険を回避するために、現段階では豊胸術実施者に対するマンモグラフィ検診を一般者と同様の条件で受けられることは推奨できない。従って、豊胸術実施者には原則お断りすることを、検診受診者には周知徹底する。もし、実施する場合には、撮影に伴うトラブルのほか、病変がインプラントに隠れて診断率低下の可能性のあること等について、受診者のインフォームドコンセントを十分に得る必要がある。
  2. 診療マンモグラフィ撮影の場合は、現在の日本の平均的撮影技術で、その撮影法が安全に可能かどうかを判断できる資料はないが、禁忌ではない。豊胸術実施を申し出てもらい、バッグ挿入の場合にはバッグを避け、圧迫圧に十分な注意を配慮して撮影する。また、病変が描出できない可能性があること等の受診者への説明も必要がある。

ペースメーカー装着者のマンモグライ検査に係る見解

平成18年1月26日

日本心臓ペースメーカー友の会
 副会長 日高 進 殿

NPO法人マンモグラフィ精度管理中央委員会 教育・研修委員会
委員長 遠藤 登喜子

ペースメーカー装着者のマンモグライ検査に係る件

謹啓
中冬の候、貴会ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。平素は乳がん検診のために格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、貴会からお問い合わせいただいた「ペースメーカー装着者へのマンモグラフィ検診の可否」について教育・研修委員会の技術委員で検討した結果、マンモグラフィ検査は、乳房全体を圧迫(8〜15kgで圧迫)して撮影することから、ペースメーカー本体にも大きな圧力がかかり破損することが危惧されとの意見が多く、ペースメーカー装着者にはマンモグラフィ検診は行わないほうが良いとの結論を得ました。
いろいろなご質問に適切にお答えしていないかもしれませんが、ペースメーカー装着者へのマンモグフィによる乳がん検診の不適応についての意見を列記いたしますのでよろしくお願いいたします。
今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

謹白

「植込み型心臓ペースメーカーおよび植込み型除細動器装着者へのマンモグラフィによる乳がん検診不適応の理由」
  1. 内外斜位方向撮影はCTより管電圧は低いが直接ペースメーカー(PM)にX線が照射される。
  2. PMを挟み込んだり、乳腺を引き出したり、広げたりというポジショニングの過程でPMの位置がずれたりリード線に支障をきたす恐れがある。
  3. 撮影技師の技術力はいろいろであり、PM装着者を安全に撮影できる保障は得られない。
  4. 多くの検診者を扱う集団検診では、注意を払えない可能性があり、PMを破損するなどの事故が考えられる。
「PM装着者への対応」
  1. 現段階ではマンモグラフィでなく超音波の検査を推奨していただきたいと思います。
  2. PM装着者で心配な方は、専門の医療機関を受診下さるよう案内していただければ幸いです。
  3. 講習会の中では、PM装着者の撮影はPMを圧迫しないこと、十分に注意して撮影することなどを今まで以上に重要課題として教育するように取組みます。
  4. PM装着者は検査前に申し出ていただくように会員の皆様にご連絡いただければ幸いです。

V-Pシャント施行者のマンモグラフィ撮影についての精中委見解

平成17年7月

NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会

 V?Pシャント施行者がマンモグラフィ検診を受けることによるメリット・デメリットについて検討した。
マンモグラフィ撮影によるV-Pシャントカテーテルの破損事故等の報告は現在までみられないが、今後、多くの検査が実施されるなかで不測の事態が起きないとは断言できない。同施行者に対するマンモグラフィ検診受診について、以下の見解を示す。

  1. 自己申告を原則とする
    1. 1) 申告手法として問診表に記述箇所を設ける。
    2. 2) ポスター等により装着者がマンモグラフィ撮影前に自己申告すべきことに気づくよう、注意を喚起する。
  2. 撮影
    1. 1) マンモグラフィ撮影を行うことのメリット・デメリット、代替検査(超音波検査)の長所と限界を含んだインフォームド・コンセント
    2. 2) マンモグラフィ撮影後に異常を感じた場合、早急に担当の脳外科医に相談すべきことの啓発

乳房温存治療後のマンモグラフィ検診受診に係る見解

平成17年7月15日

NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会

 乳房温存治療後、経過良好で通院していた病院より通院不要、以後は検診受診による通常の乳房管理に戻ってよいと指示された婦人のマンモグラフィ検診受診についての見解を示す。

 乳房温存治療をはじめとする乳房部分切除術後の乳房では、部分欠損とともに構築の乱れが惹起されている。すべてのマンモグラフィ診断において既往歴や現症の把握は重要であるが、とくに術後の場合には必須であり、以下に留意することが望ましい。

  1. 問診
    外科的治療の既往の自己申告
  2. 撮影
    撮影技師は瘢痕の存在および部位を記載する
  3. 読影
    比較読影は、精度の高い読影にとって必須であるが、特に部分切除後乳房のマンモグラム読影にあたって比較読影ができない場合には要精査とせざるを得ない。 無駄な精査を避けるためには、比較読影を可能とする体制を保証することが重要である。
    1. 1) 初回検診には治療施設のマンモグラムを借用する。
        (治療施設では貸し出す体制を作ることが求められる。)
    2. 2) 検診施設を固定化する、あるいは、地域で検診フィルムを貸借できる体制を作る。