精中機構について

理事長就任にあたってのご挨拶

横江 隆夫

2020年6月に遠藤登喜子前理事長から引き継ぎ本機構の理事長に就任いたしました。
 マンモグラフィ(MG)は、2000年の厚労省通達(老健65号)による法的な根拠を伴い、乳がん検診の中心的役割を担っていますが、この通達に先立ち1997年に日本乳癌検診学会を中心とした検診関連6学会(日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本医学放射線学会、日本産科婦人科学会、日本放射線技術学会、日本医学物理学会)によるマンモグラフィ精度管理中央委員会(精中委)が設立されて活動を開始し、2004年6月に特定非営利活動(NPO)法人として認可されました。これまでに全国でMG読影、撮影技術講習会を開催し、多くの医師、技師が認定されています。またMG撮影装置の施設認定も行ってきました。さらに将来を見越した乳がん検診での超音波検査精度管理の必要性から、超音波関連の3学会(日本超音波医学会、日本乳腺甲状腺超音波医学会、日本超音波検査学会)が加わり、平成25年10月に精中委はNPO法人乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)となり、乳がん検診精度管理の活動範囲を拡大しています。
超音波検査は、これまで任意型検診を中心に行われていますが、有効性はまだ証明されていません。2007年から40歳代に対する乳がん検診における超音波検査の有効性を検証する比較試験(J-START:主任研究者 東北大学 大内憲明)が行われ、超音波検査併用群では、感度が高く、中間期癌が少なく、早期の浸潤癌が多く発見されたという初期結果が2011年にLancet報告されました。生存率に関する解析結果が待たれますが、今後、乳がん検診での超音波検査はますます重要になるものと思われます。精中機構は、講習会開催も含め超音波検査の精度管理向上も進めています。
いずれにしても、検診の利益を高め、不利益を減少させるためには画像撮影・診断の精度向上が欠かせません。今後、新しいモダリティが検診に導入される可能性がありますが、それらに対する精度管理も含め精中機構の発展に努めたいと思います。